年代測定法とは?わかりやすく5分で解説
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年代測定法とは、考古学的な遺物からその年代を測定する方法のこと。
主な測定法を以下に示す。
古地磁気年代測定法
遺物の残留磁化を測定する方法のこと。適用範囲は現代から数千年前となる。土に含まれる磁性鉱物は、高温から冷却される時に地磁気の方向が記録される(熱残留磁化)。地磁気の年ごとの方向の変化は、各地で調査されまとめられている(永年変化曲線)。
つまり、遺物の残留磁化と永年変化曲線を照合することで年代が測定できる。土器調査等に用いられる。
年輪年代測定法
樹木の年輪の数を測定する方法のこと。適用範囲は現代から約1万年前となる。樹木は1年ごとに年輪が増える。この年輪は、土地や樹木の種類が同じ場合に類似するため、各樹木の年輪の共通部分を重ねて年数を繋げることができる。
建築物調査等に用いられる。
黒曜石水和層年代測定法
黒曜石の水和層の厚さを測定する方法のこと。適用範囲は数千から数万年前となる。黒曜石は、表面から水を吸収し長い年月をかけて水和層を形成する。この水和層の厚さは時間に比例する。石器調査等に用いられる。
年縞年代測定法
湖底堆積物の層を測定する方法のこと。適用範囲は現代から数万年前となる。環境の良い湖底堆積物の層は、1年周期の縞模様となる(年縞)。また氷河地帯では氷縞粘土という堆積物の層もある。気候調査等に用いられる。
放射性炭素年代測定法
遺物に含まれる炭素14の存在比を測定する方法のこと。適用範囲は現代から数万年前となる。炭素には、原子番号(陽子の数)が同じでも質量(中性子の数)の異なる炭素12、炭素13、炭素14が自然界に存在する。これを同位体という。
そのうち炭素14は、やがて原子核が崩壊し窒素14に変わる放射性同位体となる。この崩壊は一定の確率で起き、その半数が崩壊するまでの時間を半減期という。炭素14の半減期は5,730年となるため、10個の炭素14は5,730年で5個になる。
自然界において、炭素14は全炭素原子の1兆個に1個存在する。この炭素14の存在比は生物の死後、新たな炭素が供給されなくなるために変化する。つまり、遺物内の炭素14の存在比が小さいほど古い年代となる。生物の遺骸調査等に用いられる。
この方法は別の放射性同位体でも行われる。
ルミネッセンス年代測定法
遺物の発光量を測定する方法のこと。適用範囲は数十から数十万年前となる。鉱物の石英や長石は、熱や光刺激を受けると光を発する。これは、放射線を浴びることで鉱物中にエネルギーが蓄積され、刺激によってそのエネルギーが光となるため。
この発光量は放射線量に比例する。地球には宇宙から放射線(宇宙線)が降り注いでいるため、鉱物の発光量は長い年月をかけて増加する。つまり、鉱物の発光量が多いほど古い年代となる。土器調査等に用いられる。
これらは刺激の種類によって熱ルミネッセンス、光ルミネッセンスともいう。
電子スピン共鳴年代測定法
遺物に含まれる不対電子の量を測定する方法のこと。適用範囲は数千から数百万年前となる。電子の多くはペアで存在する(電子対)。しかし、物質が放射線を浴びると電子のペアは引き離され不対電子となる。この不対電子の量は放射線量に比例する。
地球には宇宙から放射線(宇宙線)が降り注いでいるため、物質中の不対電子は長い年月をかけて増加する。つまり、物質中の不対電子の量が多いほど古い年代となる。不対電子の検出には、不対電子が磁場中でマイクロ波を吸収する現象(電子スピン共鳴)を利用する。
骨や貝殻調査等に用いられる。
アミノ酸年代測定法
遺物に含まれるアミノ酸のラセミ化度合を測定する方法のこと。適用範囲は数千から数百万年前となる。生物を構成するタンパク質はアミノ酸から作られる。アミノ酸には、互いに性質の似ているD体アミノ酸とL体アミノ酸が存在する(鏡像異性体)。
生体内のアミノ酸はそのほとんどがL体アミノ酸となるが、生物の死後はL体アミノ酸がD体アミノ酸に変化(ラセミ化)し、最終的に存在比率が1:1になる。つまり、遺物内のD体アミノ酸が少ないほど古い年代となる。
しかしラセミ化の反応速度は温度に依存するため、年代測定の精度を高めるには過去の温度を正確に知る必要がある。生物の遺骸調査等に用いられる。
フィッショントラック年代測定法
鉱物に含まれるウラン238の核分裂のトラック数を測定する方法のこと。適用範囲は数千から数億年前となる。質量の大きい放射性同位体のウラン238は、自然に1つの原子が複数の原子に分裂する(自発核分裂)。
鉱物に含まれるウラン238は、自発核分裂をする際に鉱物中に痕跡(飛跡,トラック)を残す。このトラック数は鉱物中のウラン原子の数と時間に比例する。つまり、鉱物中のトラック数が多いほど古い年代となる。またトラックは高温にさらされると消失する。
火山調査等に用いられる。