なにかの知識

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脳死臓器移植とは?わかりやすく5分で解説

脳死臓器移植とは、本来の機能を失った臓器の代わりに、脳死者から摘出した正常な臓器を移植する行為のこと。 

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背景 

20世紀初頭、フランスの外科医カレルが血管縫合・吻合術を確立し、外科の目的が切除から修復に変わった。1905年、彼は動物実験によって移植した臓器が機能しなくなること(拒絶反応)を観察し、これを炎症や栄養不良によるものと考えた。

1912年、彼は血管縫合と臓器移植の研究でノーベル賞を受賞した。1940年代、イギリスの生物学者メダワーが、拒絶反応は異物を排除するための免疫が引き起こすと証明した。つまり、拒絶反応を防ぐためには免疫を抑える必要がある

免疫抑制剤の登場

1950年代、患者に放射線をあて免疫を抑えていたが移植成功率は低かった。1952年、アメリカの薬理学者ヒッチングスとエリオンが、免疫抑制剤アザチオプリンを発見し、1961年イギリスの外科医カーンが有効性を証明した。以降薬物療法が主流になった。

1972年、スイスの製薬会社サンドの研究員ボレルが、シクロスポリンの免疫抑制作用を発見した。この薬は従来品に比べ免疫抑制効果が格段に優れていたため、1980年代から移植成功率が飛躍的に向上した

脳死の定義

1950年頃から、人工呼吸器等の発明により脳死という新しい死の概念が生まれた。多くの臓器は死後に鮮度を保てない。脳死は移植直前まで臓器の鮮度を保てるため、臓器移植の可能性を広げた。

脳死の定義には、脳の不可逆的機能喪失を基準とする機能死説(全脳死説、脳幹死説、大脳死説)と、脳の不可逆的組織損傷を基準とする器質死説がある。 不可逆的とは、回復しないという意味。

脳死

すべての脳の不可逆的停止をもって脳死とする説のこと。日本を含む多くの国が採用している。人工呼吸器で延命できるが、数週間以内に心臓死を迎える。

脳幹死説

呼吸等生命維持を司る脳幹の不可逆的停止をもって脳死とする説のこと。イギリスが採用している。人工呼吸器で延命できるが、数週間以内に心臓死を迎える。

脳死

思考や記憶等を司る大脳の不可逆的停止をもって脳死とする説のこと。多くは自発呼吸でき回復する可能性がある状態(植物状態)のため、不可逆的停止を判断できない。植物状態は一般に脳死と見なさずドナーにならない

器質死説

脳組織の不可逆的損傷をもって脳死とする説のこと。医学の進歩により、脳の蘇生限界点が伸びている。つまり現代では脳死(機能死)と診断されるケースでも、将来は脳死と診断されなくなる可能性がある。そのため、脳細胞が壊れて初めて死と考える。

脳死判定基準

1950-60年代、様々な臓器の移植技術が確立したため、それまで曖昧だった脳死判定基準の明確化が求められた。1968年、アメリカのハーバード大学脳死判定基準(ハーバード基準)を作成し、各国の基準の原型になった。

同年、外科医和田寿郎が日本初の心臓移植手術を行ったが、83日後に患者が死亡した。彼は、脳死判定の妥当性等の疑惑により殺人容疑をかけられた(和田心臓移植事件)。1985年、厚生省が脳死判定基準(竹内基準)を作成し、以降日本の標準的基準となった。

竹内基準では、深い昏睡状態、瞳孔散大、刺激による反射(脳幹反射)なし、脳波平坦、自発呼吸なしの診断を間隔をあけて2回行い脳死を判定する。 

法整備

1997年、日本で臓器移植法が施行した。これにより、15歳以上の脳死者で臓器提供の意思表示をしていた場合に臓器提供が認められた。年齢制限は、民法で遺言と認められる年齢が15歳以上のため。そのため、小児患者は海外渡航移植に頼るしかなかった

2010年、日本で改正臓器移植法が全面施行した。これにより、脳死者が臓器提供拒否の意思表示をしていなかった場合の家族の承諾による臓器提供、虐待を受けていない15歳未満の脳死者の臓器提供、親族への優先的な臓器提供が認められた。

脳死と死の関係

日本では法整備のために脳死と死の関係が議論された。脳死と死の関係には大きく3つの解釈がある。

三徴候説

心臓死こそが死という立場のこと。三徴候とは心停止、呼吸停止、瞳孔散大を指す。脳死臓器移植については移植否定派と、例外で認める違法性阻却派に分かれる。臓器移植法では脳死も死と認めるため、現在主流ではない考え。

脳死選択説

基本的に心臓死を死とするが、本人、家族が臓器移植を望んだ場合に限り脳死を死とする立場のこと。死の基準が2つ存在し統一性に欠ける問題がある。臓器移植法はこの立場を取る。

脳死一元論

脳死こそが死という立場のこと脳死=死が社会に浸透していない点や脳死判定の確実性に問題がある。

臓器移植の未来

近年、臓器移植や人工臓器はドナー不足や技術的課題等の壁にぶつかっている。そのため、細胞の再生能力を利用し臓器を作製する再生医学の研究に注目が集まっている。

インフレーション理論とは?わかりやすく5分で解説

インフレーション理論とは、日本の物理学者佐藤勝彦アメリカの物理学者グースらが提唱した、宇宙誕生直後に急膨張が起こったという仮説のこと

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背景 

20世紀初頭、宇宙は不変(静止宇宙)と考えられていた。1917年、ドイツの物理学者アインシュタイン一般相対性理論で宇宙の記述を試みたが、静止宇宙とならなかったため、静止宇宙になるように万有斥力(宇宙項)を導入し辻褄を合わせた。

1922年、ソ連の物理学者フリードマンが、静止宇宙という前提を捨て一般相対性理論アインシュタイン方程式を解いた(フリードマン方程式)。この式からは、宇宙は膨張し続けるか、膨張後に収縮するという2通りの宇宙モデルが導かれた。

膨張宇宙の観測

1929年、アメリカの天文学者ハッブル赤方偏移の観測により、遠くの銀河ほど地球から速く遠ざかっていることを発見した(ハッブル法則)。これは宇宙の膨張を意味する。赤方偏移とは、観測者から遠ざかる光が波長の長い方へずれる現象のこと。

光は電磁波の一種で、電磁波は波長が短い順に、γ線、X線、紫外線、可視光線(青系→赤系)、赤外線、電波となる。救急車のサイレン(音波)は、近づくと高く(波長が短く)、遠ざかると低く(波長が長く)聴こえる(ドップラー効果)。この効果は電磁波にも起こる。

つまり、遠ざかる天体(物質)の発する光は波長が伸びる

ビッグバン宇宙論(火の玉宇宙論)と定常宇宙論

1931年、ベルギーの天文学者ルメートルが、宇宙は爆発で誕生したと発表した。1948年、ロシアの物理学者ガモフがルメートルの理論を発展させ、宇宙が爆発で誕生し高温高密度の状態から膨張と共に冷え、現在に至ったと主張した(火の玉宇宙論)

同年、イギリスの天文学者ホイルらは、宇宙に火の玉宇宙論のような始まりはなく、新しい物質が常に生成されることで宇宙が膨張すると主張した(定常宇宙論)。 両者は対立し、ホイルが火の玉宇宙論をビッグバン(大ボラの意)と呼び、それが定着した。

宇宙マイクロ波背景放射の観測

1964年、アメリカの物理学者ペンジアスとウィルソンが、電波望遠鏡の電波(マイクロ波)雑音に悩まされていた。当初は、アンテナについた鳩の糞等機器側の異常を考えたが、最終的に雑音は宇宙から届くビッグバンの名残という結論に行き着いた。

宇宙誕生直後は非常に高温で、光が電子にぶつかり(トムソン散乱)、何も見えない状態だった。これが誕生から約38万年後に約3000Kまで冷えると、電子と陽子が原子になり、光が直進でき宇宙を照らすようになった。これを宇宙の晴れ上がりという。

あらゆる物質はその熱に応じた電磁波を出す(熱放射)。電磁波は熱い物質ほど波長が短い。宇宙の晴れ上がり時の光(約3000Kの物質が発する光)が、宇宙の膨張で波長が伸び約3Kのマイクロ波になった。これを宇宙マイクロ波背景放射(CMB)という。

なぜ過去の光が見えるのかというと、光の速度が有限のため。たとえば太陽光が太陽から地球に届くまで8分かかる。つまり、地球上では8分前の太陽を見ている。1978年、ペンジアスとウィルソンはCMBの発見でノーベル賞を受賞した。 

インフレーション理論の登場

1981年、日本の物理学者佐藤勝彦アメリカの物理学者グースらが、宇宙は誕生直後に急膨張し、その後高温になったとするインフレーション理論を発表した。この理論は、膨張をほぼ等速と考えた従来のビッグバン宇宙論に生じる諸問題を解決し、修正した。

地平線問題

宇宙の地平線(まだ光が届いていない距離)の外からくるCMBの温度がなぜか同じ約3Kになる問題のこと。熱は光速よりも速く伝わることができない。つまり、宇宙の地平線外からくるCMBの温度が同じになるのは不自然。

インフレーション理論では、小さな点が一気に10の43乗倍に急膨張したと考える。つまり、小さな点の時に温度が均一だったため、宇宙の地平線外まで急膨張しても地平線外の温度は同じになると考える。

平坦性問題

現在の宇宙空間はほぼ平坦だと分かっているが、これを実現するためには初期宇宙の条件(物質の密度等)がかなりシビアという問題のこと。少しでも条件がずれれば、宇宙は物質の重力によって収縮しつぶれるか、膨張速度が速すぎて銀河が形成されない。

インフレーション理論では、元々空間が曲がっていたとしても急膨張によって引き延ばされ平坦になると考える。

インフレーション理論の予言

インフレーション理論は、原始重力波の存在を予言している。原始重力波とは、宇宙誕生直後の急膨張により発生した時空の歪みの波のこと。光の観測では、宇宙の晴れ上がり以前を見ることができない。原始重力波は、宇宙の晴れ上がり以前に発生している。

つまり、原始重力波を直接観測できれば宇宙の起源に迫ることができる。そのため各国で研究が進められている。

フェルミのパラドックスとは?わかりやすく5分で解説

フェルミパラドックスとは、イタリアの物理学者フェルミが提起した、宇宙には無数の星があり地球外文明が存在する可能性が高いにもかかわらず、地球外知的生命(宇宙人)と人類が接触してないのはなぜかというパラドックスのこと

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背景 

1950年、イタリアの物理学者フェルミが昼食中同僚に、宇宙人はどこにいるのか問いかけた(フェルミパラドックス)。1960年、地球外知的生命探査(SETI)計画が始まった。SETIには、宇宙へ発信するアクティブSETIと宇宙から受信するパッシブSETIがある。

アクティブSETIには、1972-73年にNASAが打ち上げたパイオニア探査機の金属板、1974年にプエルトリコアレシボ天文台が発信したアレシボメッセージ、1977年にNASAが打ち上げたボイジャー探査機のゴールデンレコード等がある。

パッシブSETIには、1977年にアメリカのビッグイヤー電波望遠鏡が受信したWow!シグナル等がある。これは、地球外文明が発した電波信号の可能性が指摘されている。

ドレイクの方程式

1961年、アメリカの天文学者ドレイクが、人類と接触できるほど高度な地球外文明の数を推定する方程式を考案した(ドレイクの方程式)。各変数は専門家の見解によって異なる。

ドレイクの方程式は、N=R*×fp×ne×fl×fi×fc×L(銀河系の高度な地球外文明の数=1年に誕生する恒星の数×恒星が惑星を持つ確率×生命の生存に適した惑星の数×生命が発生する確率×知的生命になる確率×高度な文明を持つ確率×高度な文明の持続年数)で表される。

 以下にフェルミパラドックスの回答例を示す。

宇宙人は存在し接触している

陰謀論

宇宙人との接触を国家が隠蔽しているという説。 UFOと結び付けて語られる。

古代宇宙飛行士説

古代の地球に宇宙人が飛来し文明を授けたとする説。世界の神話や遺跡に宇宙人の存在を匂わせるものが存在する。

ハンガリー人宇宙人説

ハンガリー人は宇宙人(火星人)という説ハンガリー出身の科学者に優秀な人物が多いことから生まれたジョーク。

パンスペルミア

人類の先祖(微生物)が隕石等によって宇宙から飛来したという説。宇宙人が意図的に地球に生命の種をまいたとする考えもある。

宇宙人は存在するが接触していない

動物園仮説

宇宙人によって地球が保護区に指定されているという説。高度な文明が地球の文明に影響を与えないように干渉してこないと考える。

プラネタリウム仮説

宇宙人によって地球や太陽系がスクリーンのようなもので覆われているという説

シミュレーション仮説

我々は宇宙人によって作られたシミュレーションの世界にいるという説

地球より高度な文明がない

地球文明が一番発展しているという説。確率的に宇宙で一番人口の多い星に生まれる可能性が高いため、我々が地球に生まれたということは地球文明が一番繁栄していると考える。

コストがかかる

星間飛行は非常にコストがかかるため行われていないという説

伝わらない 

地球と宇宙人のコミュニケーション方法が異なるため接触できていないという説

届いていない

互いの文明に距離があるため、まだ通信が届いていないという説

重力の強い惑星にいる

強い重力の惑星(スーパーアース)にいるため、宇宙に進出できていないという説

海中にいる

海中にいるため宇宙に進出できていないという説

宇宙を知らない

惑星の厚い大気や複数の太陽の影響で、宇宙を認識できていないという説

休眠している

活動に適した温度まで宇宙が冷えるまで活動を停止しているという説

興味がない

太陽系に興味がないという説

自滅している

一定の発展を遂げた文明は、何らかの障害(The Great Filter)にぶつかり滅んでいるという説。 文明の発展は戦争や資源の枯渇、環境汚染、人工知能の暴走等を引き起こし自滅を招くため、文明が接触するレベルに達しないと考える。

破壊者がいる

一定の発展を遂げた文明は、より高い文明を持つ宇宙人によって滅ぼされているという説。資源は有限のため、乱獲によって枯渇する可能性がある(コモンズの悲劇)。そのため、一定の発展を遂げた文明はライバルを嫌う他者に滅ぼされると考える。

避けている

他文明との接触を危険と判断して避けているという説

コンピュータの世界にいる

自ら作ったコンピュータ上の仮想世界にいるという説。仮想世界は理想の世界のため、わざわざ現実世界で活動することはないと考える。

宇宙人は存在しない

レアアース仮説

地球における生命の誕生と知的生命(人類)への進化は稀な現象という説。太陽との距離、安定した軌道、磁場の存在、木星による隕石の吸収、地軸の傾き、月による潮汐、大量絶滅からの生還等の奇跡的な条件の重なりは地球でしか起きていないと考える。

コンピュータ将棋とは?わかりやすく5分で解説

コンピュータ将棋とは、将棋の対戦を目的としたコンピュータ、プログラムのこと

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背景 

チェスや将棋、囲碁のように二人で行い、利害の合計が0(勝ち1、負け-1、引き分け0)で、指し手が有限で、偶然の要素がなく、相手の選択が常に把握できるゲームを二人零和有限確定完全情報ゲームという。

このゲームは理論上先手必勝、後手必勝、引き分けのいずれかに決定する。但し一局の選択肢はチェスで10の120乗、将棋で10の220乗、囲碁で10の360乗と宇宙の原子の数10の80乗より多い。そのため、いずれも解明には至っていない

探索と評価関数

将棋は、形勢を判断する大局観と選択肢を考える読みで指し手を決める。コンピュータ将棋において、大局観と読みに相当するものが評価関数と探索になる。

評価関数

持ち駒の数や駒の配置、効き、手番等を点数化し合計した関数のこと。評価関数で特定の局面を計算したものを評価値という。評価値が高いほど形勢が良いと判断する。 

探索

ある局面の有効な指し手を探す技術のこと。将棋は選択肢が膨大なため、限られた時間で効率よく探索を行う必要がある。基本的な探索手法にミニマックス法がある。これは評価値が相手の手番で最小、自分の手番で最大になるように探索する手法のこと。

たとえば選択肢が2つずつあり2手目まで探索する時、2手目(相手番)には4つの選択肢となる。これはトーナメント表のような図(ゲーム木)で表せる。2手目の局面の評価値がそれぞれ左から1,3,5,7だった時、1と3の最小1と、5と7の最小5が指し手の候補となる。

次に1と5から最大を選択する。つまり評価値5の局面を目指す指し手に決定する。この時、もし探索領域外(評価値5の局面の先)に突然不利な局面が現れるとしてもそれを読むことはできない。これを水平線効果という。

Bonanzaの登場

2005年、化学者の保木邦仁が将棋ソフトBonanzaを開発した。Bonanzaは以下に示す様々なアイデアによって、2006年ライバルが高スペックPCを使用する中、ノートPCで世界コンピュータ将棋選手権に初出場し優勝した。

ボナンザメソッド

評価関数を自動で調整する手法のこと。それまでは開発者が人力で評価関数を調整していた。Bonanzaはプロの棋譜(教師データ)から、プロの指し手を正解として評価関数を自動で調整した。このように正解を提示して学習させる方法を教師あり学習という。

3駒関係

玉と他2駒の位置関係で局面を捉える評価関数のこと。勝利の三角形ともいう。

全幅探索

広く浅く探索する手法のこと。元々コンピュータチェスで採用されていた手法だが、将棋は選択肢が多く機能しないと考えられていたため、それまで狭く深く読む選択探索が採用されていた。全幅探索は、選択探索が捨てていた有効な指し手に光を当てた。

技術的改良

Bonanzaの登場以降、様々な技術が開発され飛躍的に棋力(強さ)が向上した。

KPPT

玉(K)と他2駒(PとP)の3駒関係に手番(T)を加えた評価関数のこと。他にも王と玉と他1駒と手番のKKPTや、駒の効き(E)を加えたKPE等がある。

次元下げ

3駒関係を盤面の相対位置で考え評価関数に反映させる手法のこと。それまで3駒関係は絶対位置で考えていたため、プロの棋譜に現れにくい局面(入玉等)を苦手としていた。次元下げにより学習に利用できる局面が増加し、弱点の克服と棋力向上につながった。

枝刈り

特定の局面を探索対象から外し、効率を上げる手法のこと。たとえばミニマックス法は、探索中の情報から論理的に最大や最小をとらないと分かる局面も探索する。この無駄な探索を省く手法をαβ法という。他にも様々な枝刈り方法がある。

自己対局

コンピュータが自身のみでする対局のこと。プロの棋譜のみでは教師データが少ないため、自己対局を繰り返し増やした。このように、独力のみで学習する行為を強化学習という

雑巾絞り

浅く探索した時の評価値を、深く探索した時の評価値に近づけるように評価関数を調整する手法のこと。発展形として勝敗結果を調整に取り入れる手法もある。強化学習の一種。

floodgate

2008年インターネット上に開設されたコンピュータ将棋の対局場のこと。対局の棋譜が入手でき教師データに利用できる。

プロとの対局

2013年、コンピュータとプロ棋士による団体戦、第2回将棋電王戦が開催されプロ棋士が初めて敗北した。2017年、名人佐藤天彦が2連敗したのを最後にコンピュータとの対局は行われていない。

近年の開発

2017年、アメリカの企業Googleディープラーニングを行うプログラムAlphaZeroを開発し、3日間の学習で将棋ソフトトップのelmoに勝ち越したと発表した。2018年、日本でもディープラーニング評価関数(NNUE)が開発され効果を発揮している。

記憶のバイアスとは?わかりやすく5分で解説

記憶のバイアスとは、記憶に関わる認知バイアスのこと認知バイアスとは、何かを認知する際、事実や印象が歪んだり偏ったりする傾向のこと。

以下にその種類を示す。

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記憶の定着について

Humor effect

面白い情報の方が記憶が定着する傾向のこと

Von Restorff effect

目立つ情報の方が記憶が定着する傾向のこと

Bizarreness effect

突飛な情報の方が記憶が定着する傾向のこと

望ましい困難

苦労して覚えた方が記憶が定着する傾向のこと

自己参照効果

自分に関連付けた方が記憶が定着する傾向のこと

Self-relevance effect

自分に関係のある情報の方が記憶が定着する傾向のこと

Generation effect

受動的な情報(見聞き)よりも、能動的な情報(読み書き)の方が記憶が定着する傾向のこと

Picture superiority effect

文字よりも、画像の方が記憶が定着する傾向のこと。 

系列位置効果

中間よりも、最初と最後の方が記憶が定着する傾向のこと。最初の記憶力の上昇を初頭効果、最後の記憶力の上昇を新近効果という。

Modality effect

視覚よりも、聴覚の方が最後の記憶が定着する(新近効果が得られる)傾向のこと

間隔効果

一度に記憶するよりも、間隔をあけた方が記憶が定着する傾向のこと

テスト効果

読み書きするよりも、テストをした方が記憶が定着する傾向のこと。 

ツァイガルニク効果

達成した出来事よりも、中断した出来事の方が記憶が定着する傾向のこと

Dual code and multimedia effects

単一の方法よりも、複数の方法(文字と画像、視覚と聴覚等)で覚える方が記憶が定着する傾向のこと

処理水準効果

丸暗記よりも、理解して覚えた方が記憶が定着する傾向のこと

幼児期健忘

3歳以前の記憶が定着しない傾向のこと

グーグル効果

簡単に得られる情報の記憶が定着しない傾向のこと

Next-in-line effect

自分の順番直前の記憶が定着しない傾向のこと

凶器注目效果

犯人が凶器を持っていた場合、凶器以外(人相、着衣)の記憶が定着しない傾向のこと

他人種効果

同人種よりも、他人種の顔の方が記憶が定着しない傾向のこと

思い込みについて

Illusory truth effect

初めて聞く情報よりも、知っている情報の方が正しいと思い込む傾向のこと。 

選択支持バイアス

自分の選択が正しかったと思い込む傾向のこと

一貫性バイアス

ある人の態度や行動を、過去からそうだったように思い込む傾向のこと

境界拡張

画像を思い出す時、画像外の映像まで見たと思い込む傾向のこと

テレスコーピング現象

古い記憶は実際よりも最近の出来事のように、最近の記憶は実際よりも古い出来事のように思い込む傾向のこと

後知恵バイアス

結果を知ってから予測可能だったと思い込む傾向のこと

クリプトムネシア

見聞きした記憶を忘れた後、意図せず自分で考え出したと思い込む傾向のこと

Egocentric bias

実際よりも、自分の評価を高いものと思い込む傾向のこと

無意識的転移

事件とは別の場面で見た人を犯人と思い込む傾向のこと

Change bias

努力して変化した時、変化前を実際よりもひどい状態だったと思い込む傾向のこと

Leveling and sharpening

記憶した情報の細部が失われたり、一部が強調される傾向のこと。 

誘導情報効果 または Suggestibility

記憶した情報と異なる情報を与えられると、記憶が書きかえられる傾向のこと

ポジティブ効果

高齢者が過去の記憶を肯定的に捉える傾向のこと。 

Rosy retrospection

当時感じていたよりも、過去の記憶を肯定的に捉える傾向のこと。 

想起について

文脈効果

記憶した時の環境(場所、天気等)に近い方が多く思い出す傾向のこと。 

レミニセンスバンプ

10~30歳頃の記憶を多く思い出す傾向のこと

Gender differences in eyewitness memory

目撃者が同性の方が多く思い出す傾向のこと

Mood congruent memory bias

その時の気分や感情と一致する記憶を思い出す傾向のこと。 

Suffix effect

情報の最後に無関係な言葉が入ると、直前の情報を思い出せなくなる傾向のこと

Fading affect bias

良い記憶よりも、悪い記憶の方が早く忘れる傾向のこと

その他 

Verbatim effect

言葉を一言一句ではなく要点で記憶する傾向のこと

List-length effect

情報が少ないよりも、情報が多い方が記憶できる絶対数が減る傾向のこと

ピークエンドの法則

思い出を絶頂期と終わり方のみで判断する傾向のこと。 

CP対称性の破れとは?わかりやすく5分で解説

CP対称性の破れとは、粒子と反粒子が非対称な振る舞いをする事象のこと

または、粒子の電荷(C)と空間(P)を反転(CP変換)させた反粒子の世界で、粒子の世界と同じ物理法則が成り立たないことをいう。現在の宇宙がほとんど反物質のない物質優勢宇宙になった理由を説明するために必要な条件の1つ

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基本相互作用について

自然界に働く力は電磁気力、弱い力、強い力、重力の4つと考えられている。これを基本相互作用(自然界の4つの力)という。

電磁気力

原子核と電子や、原子同士を結び付け原子や分子を作る力のこと。

弱い力

重い素粒子から軽い素粒子に変化(崩壊)する時の力のこと。

強い力

クォーク同士を結び付け陽子や中性子等を作る力のこと。

重力

物質同士が引かれ合う力のこと。

素粒子について

物質の最小単位を素粒子という。以下3種に分類される。

ゲージ粒子

基本相互作用を伝える素粒子のこと。電磁気力を伝える光子(フォトン)、弱い力を伝えるウィークボソン、強い力を伝えるグルーオンの3種と、未発見だが重力を伝える重力子(グラビトン)があるとされる。

ヒッグス粒子

物質に質量を与える素粒子のこと。

フェルミ粒子(フェルミオン)

物質を形作る素粒子のこと。陽子や中性子等を構成するクォークと電子等のレプトンに分かれる。クォーク同士が強い力で結びついたものをハドロンという。ハドロンには、クォークと反クォークからなる中間子と、3つのクォークからなるバリオンがある。

反粒子について

粒子には電荷が反対の反粒子が必ず存在する反粒子が粒子に遭遇すると、互いに衝突し消える(対消滅)。この時すべての質量がエネルギーに変わる。また、高いエネルギーがあると粒子と反粒子がペアで生まれる(対生成)。

背景 

1928年、イギリスの物理学者ディラックは、特殊相対性理論量子力学を結び付けるディラック方程式を発表し、電子の反粒子(陽電子)の存在を予言した。1932年、アメリカの物理学者アンダーソンが陽電子を発見した。

1933年ディラックが原子理論における新しい理論形式の発見で、1936年アンダーソンが陽電子の発見でノーベル賞を受賞した。

対称性の破れの発見

1956年、中国の物理学者ヤンとリーはK中間子のP対称性の破れを予言した。P対称性の破れとは、粒子を空間反転(P変換)させた時、反転前後で同じ物理法則が成り立たないことをいう。同年、中国の物理学者ウーがK中間子のP対称性の破れを観測した。

1964年、アメリカの物理学者フィッチとクローニンが、K中間子のCP対称性の破れを観測した。CP対称性の破れとは、粒子の電荷(C)と空間(P)を反転(CP変換)させた反粒子の世界で、粒子の世界と同じ物理法則が成り立たないことをいう。

1957年ヤンとリーがパリティ(P)についての研究で、1980年フィッチとクローニンがK中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見でノーベル賞を受賞した。

サハロフの3条件

宇宙誕生初期は、物質と反物質が同数存在していたとされる。しかし、現在の宇宙はほとんど物質で構成されている。それでは、いつどのように物質と反物質に偏りが生じたのか。これをバリオン数生成問題(バリオジェネシス)という。

バリオン数とはクォークを1/3、反クォークを-1/3と数える量のこと。つまり、宇宙誕生初期のバリオン数はゼロとなる。1967年、ロシアの物理学者サハロフが、物質優勢宇宙となるために必要な条件をまとめた(サハロフの3条件)。

バリオン数の非保存

クォークと反クォークの量に偏りが生じる必要があるクォークと反クォークが対生成と対消滅を繰り返しバリオン数が保存される(変わらない)なら、物質優勢宇宙は生まれない。

CおよびCP対称性の破れ

粒子と反粒子の振る舞いが互いに異なる必要がある。粒子と反粒子が同じ物理法則に従うなら互いの量は偏らず、物質優勢宇宙は生まれない。

非平衡状態

反応が一方向の必要がある。平衡状態ではバリオン数が増える反応と減る反応が同じだけ起こるため、物質優勢宇宙は生まれない。

小林益川理論 

1973年、日本の物理学者小林誠益川敏英が、当時3つしか発見されていなかったクオークが6つあればCP対称性の破れが説明できると発表した(小林益川理論)。その後、1994年までに予言した3つのクォークが発見された。

2001年、B中間子のCP対称性の破れが観測された。2008年小林と益川は、クォークが3世代以上ある事を予言するCP対称性の破れの起源の発見によってノーベル賞を受賞した。クォークは性質と質量の違いによって、6種類が3世代に分類される。

しかし、小林益川理論で求めた物質の数は実際の物質の数に10桁足りない。そのためCP対称性の破れは、小林益川理論が対象とするクォークだけでなく、レプトンでも起こると考えられ研究が進められている。

ポアンカレ予想とは?わかりやすく5分で解説

ポアンカレ予想とは、フランスの数学者ポアンカレが提唱した単連結な3次元閉多様体は3次元球面と同相という予想のこと

簡単に言うと、宇宙(3次元閉多様体)に輪を描いて、その輪が1点に縮むことができる(単連結)ならば、宇宙はだいたい丸い形をしている(3次元球面と同相)という予想。発表から約100年後の2002年、ロシアの数学者ペレルマンによって証明された。

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背景

19世紀末、フランスの数学者ポアンカレは、図形を柔らかく変形できるものとして扱う新たな数学の分野、位相幾何学(トポロジー)の基礎を築いた。1904年、彼は論文の中で単連結な3次元閉多様体は3次元球面と同相というポアンカレ予想を発表した。

命題の解説

単連結な3次元閉多様体は3次元球面と同相の意味について解説する。

単連結とは

図形に描かれた輪が、表面に沿って1点に縮むことができる性質のこと。簡単に言うと、図形に伸縮自在の輪ゴムをはめた時、表面から浮かせることなく輪ゴムが最後まで縮めば単連結といえる。たとえばボールは単連結だが、浮き輪は単連結ではない。

これは浮き輪の外周に輪ゴムをはめた時、表面から浮かせることなく浮き輪の穴以下に縮むことができないため。もしくは、浮き輪の穴を通すように輪ゴムをはめた時、浮き輪の本体以下に縮むことができないため。つまり、単連結な図形には貫通穴がない

3次元閉多様体とは 

局所的に3本の座標軸で表せる有限で縁や切れ目のない図形のこと。わかりやすいように次元を落として説明する。2次元閉多様体の例に地球表面がある。地球表面は、局所的には2本の座標軸(緯度と経度)で表せる。また大きさが有限で縁なくつながっている。

局所的としているのは、全体で考えると座標軸が地球表面に沿って一周し軸の交点が2か所できてしまい成り立たなくなるため。この地球表面を局所的に表したものが地図になる。また宇宙は、局所的に3本の座標軸で表せる3次元閉多様体と考えられている。

3次元球面とは

4次元(4つの座標軸)空間内で原点から等距離の点の集合のこと。わかりやすいように次元を落として説明する。0次元球面は1つの座標軸の正と負の2点となる。1次元球面は2つの座標軸のため円周となり、2次元球面は3つの座標軸のため球の表面(球面)となる。

同相とは

連続的に変形させて同じ形になる図形同士のこと。2つの図形は、切り貼りを除き粘土のように自由に変形させてよい。たとえばコーヒーカップ、ドーナツ、浮き輪、ハンガーはいずれも貫通穴が1つで同相といえる。

高次元での証明

数学者たちは、ポアンカレ予想の扱う3次元空間ではなく、高次元から証明を進めた。なぜ高次元から取り組むのかというと、自由度が増し扱いやすくなるため。たとえば、あやとりの糸は3次元空間では絡まないが、地面に映った2次元の影は絡まって見える。

1961年、アメリカの数学者スメールは、5次元以上の場合に命題が成り立つことを証明した。1983年、アメリカの数学者フリードマンは、4次元の場合に命題が成り立つことを証明したが、それ以降研究は難航し行き詰った。

これらの功績により1966年スメールが、1986年フリードマンが数学界で最も権威のある賞と呼ばれるフィールズ賞を受賞した。

幾何化予想

1982年、アメリカの数学者サーストンは、3次元多様体が最大8種類の断片に分解できると予想した(幾何化予想)。この8種類の断片のうち、単連結な図形は3次元球面のみのため、幾何化予想が証明できれば、同時にポアンカレ予想も証明されることになった。

1982年、彼はこれらの功績によりフィールズ賞を受賞した。

リッチフロー

1982年、アメリカの数学者ハミルトンは、自身が考案したリッチフローという手法を用いて幾何化予想を条件付きで証明した。リッチフローとは、熱力学にヒントを得た多様体を膨張させたり、収縮させる整形方法のこと。

ポアンカレ予想の証明

2002年、ロシアの数学者ペレルマンは、インターネット上にリッチフローを発展させた手法(手術)で、幾何化予想を証明したと発表した。2003年、彼はアメリカのプリンストン大学に招かれ、証明の講演を行うことになった。

講演はトポロジーの専門家たちの前で行われたが、トポロジーではなく微分幾何学や物理学の解法を用いた証明だったため、誰も理解することができなかった。2006年、複数の専門家チームの審査を経て、ポアンカレ予想の証明が確認された。

同年、彼はこれらの功績によりフィールズ賞を受賞したが、辞退し数学界から姿を消した。ちなみに2003年の講演には、フェルマーの最終定理を証明したアメリカの数学者ワイルズや、ノーベル賞を受賞したアメリカの数学者ナッシュも出席していた。

フェルマーの最終定理とは?わかりやすく5分で解説

フェルマーの最終定理とは、フランスの数学者フェルマーが提唱したnが3以上の整数の時、x^n+y^n=z^nを満たす自然数の組(x,y,z)は存在しないという予想のこと

発表から300年以上たった1994年、イギリスの数学者ワイルズによって証明された。

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背景

17世紀、フランスのアマチュア数学者フェルマーは、古代ギリシアの数学者ディオファントスの著書算術を読み、余白にフェルマーの最終定理を記した。同時に真に素晴らしい証明を見つけたが、この余白では狭すぎて書くことができないと書き込んだ。

1670年、彼の息子によって書き込み入りの算術が出版された。フェルマーが本に書き込んだ様々な予想は次々に証明されていったが、フェルマーの最終定理だけは誰も証明することができなかった。

フェルマーの最終定理は、nが3以上の整数の時、x^n+y^n=z^nを満たす自然数の組(x,y,z)は存在しないというもの。本人は別のページの余白にn=4の時に式が成り立たないことのみ証明していた。

最初の挑戦 

1770年、スイスの数学者オイラーがn=3を証明した。3、4といった個々の数字の証明は、その倍数の証明も兼ねる。なぜなら、n^6は(n^2)^3と等しいため。1と自分自身でしが割りきれない数のことを素数という。すべての自然数素数の倍数で表せる。

つまりフェルマーの最終定理の証明は、nが素数の場合のみ考えればよい。但し素数は無限に存在する。

n=100までの証明

1823年、フランスの数学者ソフィは素数フェルマーの最終定理の関係性をまとめた(ソフィジェルマンの定理)。これによりn=5と7が証明された。その後、ドイツの数学者クンマーが理想数という概念を考え出し、n=100までのすべて素数を証明した。

しかし同時に彼は、理想数を用いてもフェルマーの最終定理の証明は不可能と結論付けた。次第に個々の数字の証明は行われなくなった。

谷山志村予想とフェルマーの最終定理

1955年、日本で開催した数学の国際会議で東京大学の研究員谷山豊は、別々の数学の領域だった楕円曲線とモジュラー形式が実は結びついていると予想した。この予想は同僚の志村五郎によって定式化された。これを谷山志村予想という。

1985年、ドイツの数学者フライは仮にフェルマーの最終定理が誤っている場合、導かれる楕円曲線(フライ曲線)はモジュラー形式に結びつかないと予想した。この予想はフランスの数学者セールによって定式化された。これをフライセール予想という。

1986年、アメリカの数学者リベットがフライセール予想を証明した。これにより、フェルマーの最終定理の証明は、谷山志村予想を証明すればよいことになった。このロジックを背理法という。

背理法

背理法とは、ある命題を偽と仮定した時の矛盾を示すことにより、命題が真だとする証明法のこと。たとえば1+1=2を証明するために、1+1≠2(命題を偽)と仮定する。この式の両辺から1を引くと1≠1となり矛盾する。そのため1+1=2は真といえる。

フェルマーの最終定理を偽と仮定した時フライ曲線が導かれるが、これは谷山志村予想に矛盾する。この矛盾は谷山志村予想が正しいときに成立するため、谷山志村予想が証明できれば、背理法によりフェルマーの最終定理が真といえる。

フェルマーの最終定理の証明 

イギリスの数学者ワイルズはフライセール予想証明の報を聞き、フェルマーの最終定理の証明に着手した。楕円曲線とモジュラー形式の結びつきを証明するためには、両者の比較が必要となる。3年後、彼はガロア表現に変換して比較する方法にたどり着いた。

ガロア表現へのアプローチには岩澤理論を採用したが、数か月後に行き詰った。1991年、岩澤理論を捨てコリヴァギンフラッハ法を採用した。1993年、ワイルズはイギリスで開催した講演会で、フェルマーの最終定理を証明したと発表した。

証明の修正

証明の発表は世界的なニュースとなったが、審査においてコリヴァギンフラッハ法のロジックに欠陥が見つかった。ワイルズはイギリスの数学者テイラーと一緒に修正を試みたが、解決策が見つからないまま1年が過ぎた。

1994年、諦めかけていたワイルズが、証明が失敗した理由をせめて明らかにしようとコリヴァギンフラッハ法を見直していた時、突然一度捨てた岩澤理論を用いた修正方法をひらめいた。1995年、再審査を経てフェルマーの最終定理の証明が確認された。

新たな証明方法

2012年、 京都大学の教授望月新一abc予想を証明したと発表した。abc予想が正しい場合、nの解は5以下に絞られる。n=3,4,5は既に証明済みのため、abc予想によってフェルマーの最終定理が簡潔に証明できる。

但し、彼の論文は500ページ以上あり難解なため、2018年時点で証明は認められていない。