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南極条約体制とは?わかりやすく5分で解説

南極条約体制とは、南極条約を初めとする南極地域の国際的な取り決めのこと

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背景 

19世紀初頭、南極付近でアザラシやクジラ猟が盛んに行われるようになった。1820年、人類が南極大陸を発見し、以降各国による南極の探検と領土権の主張が始まった。南極の一部を自国の領土と主張する国をクレイマントという。

レイマントには、アルゼンチン、イギリス、オーストラリア、ノルウェー、フランス等がある。反対に自他国ともに南極の領土権を認めない国をノンクレイマントという。ノンクレイマントには、アメリカ、日本、ベルギー、南アフリカ、ロシア等がある。

領土権の主張は国際紛争に発展する恐れがあり、対策を講じる必要があった。一方1882年8月から1883年8月の間に、各国が協力し北極付近で様々な観測が行われた。この1年を第1回国際極年という。この活動により極地における国際協力の機運が高まった

南極条約の採択

1959年、アメリカ、アルゼンチン、イギリス、オーストラリア、チリ、日本、ニュージーランドノルウェー、フランス、ベルギー、南アフリカ、ロシア(当時ソ連)の12ヶ国によって南極地域の利用ルールを定めた南極条約が採択、1961年に発行された。

南極条約の主な内容には、利用は平和目的に限定(第1条)、科学調査の自由(第2条)、領土権主張の凍結(第4条)、核爆発や放射性廃棄物の処分禁止(第5条)、定期的な会合の開催(第9条)がある。南極条約は、1966年に採択された宇宙条約にも影響を与えた。

南極条約体制の確立

南極条約第9条の具体化が南極条約協議国会議(ATCM)となる。ATCMによって、南極のあざらしの保存に関する条約や、南極の海洋生物資源の保存に関する条約等が採択された。これら南極に関する条約、議定書、勧告等の枠組みを南極条約体制という

環境保護に関する南極条約議定書の採択

1970年代、地球環境保護への国際的関心が高まった。1974年、メキシコの化学者モリーナとアメリカの化学者ローランドが、フロンガスによるオゾン層の破壊を予想した。1982年、日本の調査隊が南極のオゾン層の減少(オゾンホール)を発見した。

1995年、モリーナとローランドがオゾンホールの解明でノーベル賞を受賞した。以降フロンガスの生産が禁止され、南極観測が地球環境の保護につながった。南極観測の重要性が注目されるにつれて、南極地域の環境保護もATCMで議論された。

1991年、環境保護に関する南極条約議定書が採択、1998年に発効された。この議定書の主な内容には、在来生物の採取・捕獲・有害な干渉の禁止(第3条)、生きた外来生物の持ちこみ禁止(第4条)、科学的調査を除く鉱物資源採取の禁止(第7条)がある。

南極隕石

南極で見つかる隕石を南極隕石という。南極隕石は氷上にあり目立つため、地球で発見された隕石の約8割を占める。またその多くは氷に守られ保存状態が良いことから、約46億年前の太陽系形成初期の状態を知る手がかりとして、調査が進められている。

議定書にある通り、南極では科学的調査のための鉱物資源の採取は認められている。しかし2000年頃、南極隕石がオークションサイトに出品され問題となった。ちなみに、隕石は砂漠でも目立つため見つかりやすい。

犬ぞり

かつて南極での移動手段に犬ぞりがあったが、議定書の発効により外来生物の持ち込みが禁止となり利用できなくなった。現在、南極での主な移動手段は雪上車となっている。

国内法の整備

1997年、日本で議定書の内容を達成するために、南極地域の環境の保護に関する法律が制定された。この法律により日本人が南極を訪れる場合、環境省への届け出等が義務付けられた。このように、条約を締結するために国内で必要になる法律を担保法という

南極条約体制の課題

南極条約締結から50年以上がたち、新たな課題が出てきている。 

観光

2000年頃から、南極の観光客が急増し環境への影響が懸念されている。たとえば、観光用の航空機の墜落や船の沈没といった事故が発生し、部品の散乱や燃料の流出等の汚染が問題となった。そのためATCMで規制強化等の議論が進められている。

バイオプロスペクティング

自然界から医薬品等に利用できる有用な資源を探し出す行為を、バイオプロスペクティングという。たとえば、スイスの製薬会社が開発した免疫抑制剤シクロスポリンは、ノルウェーの土壌から採取したカビが作り出す物質で、主に臓器移植に用いられる。

このように資源提供国と資源利用国が異なる場合、資源提供国へも利益を配分することが生物多様性条約という国際法に定められている。しかし南極には領土問題が存在するため、資源提供国が明確ではない。そのためATCMで議論が進められている。