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量子論とは?わかりやすく5分で解説

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量子論とは、量子という粒子と波動の二重性を持つエネルギーの最小単位に関する理論のこと

相対性理論とともに現代物理学の二大理論とされる。

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歴史

量子仮説

19世紀後半、普仏戦争に勝利したプロイセン(現ドイツ)は、鉄鉱石と石炭の産地アルザス=ロレーヌ地方を得たことで製鉄業が発展した。良質な鉄を作るには炉内の温度を正確に知る必要があり、当時は溶けた鉄の発する光の色から感覚で温度を推測していた。

1900年、ドイツの物理学者プランクが、光の色と温度の関係を数式化した(プランクの公式)。彼はこの式から、光のエネルギーが不連続で最小単位(量子)の整数倍しか存在できないことを導いた(量子仮説)

量子仮説は、物理量が切れ目なく連続的に変化すると考える従来の物理学の常識に反していた。1918年、プランクがエネルギー量子の発見でノーベル賞を受賞した。

光量子仮説

20世紀初頭、光は波と考えられていた(光の波動説)。光を波と考えた場合、そのエネルギーは振幅(波の高さ)に比例する。しかし、物質に光を当てた時に電子が飛び出す現象(光電効果)では、飛び出した電子のエネルギーが振動数に比例していた。

1905年、ドイツの物理学者アインシュタインが、光はエネルギーを持った粒子(量子)の集まりと考えた(光量子仮説)。光量子仮説では、エネルギーは振動数に比例し振幅は量子の数に比例すると考える。

すると光電効果がうまく説明できたため、光は波と粒子の性質を持つとされた。1921年アインシュタイン光電効果の法則発見でノーベル賞を受賞した。

物質波(ド・ブロイ波)

1924年、フランスの物理学者ド・ブロイが、波と考えられていた光が粒子の性質を持つなら、粒子と考えられていた電子が波の性質を持つのではと考えた。彼は、粒子の波としての振る舞いを物質波という概念で表した。

1929年、ド・ブロイが電子の波動性の発見でノーベル賞を受賞した。

シュレーディンガー方程式

1926年、オーストリアの物理学者シュレーディンガーが物質波の方程式(シュレーディンガー方程式)を発表した。この式を解くと、物質波の形(波動関数)を求めることができる。1933年、シュレーディンガーが新形式の原子理論の発見でノーベル賞を受賞した。

ボルンの確率解釈 

1927年、ドイツの物理学者ボルンが、波動関数は電子が存在する位置の確率を示すと主張した(ボルンの確率解釈)。電子の存在確率は波の山と谷で最大、横軸と交わるところで0と考える。1954年、ボルンが確率解釈の提唱でノーベル賞を受賞した。

ハイゼンベルク不確定性原理

1927年、ドイツの物理学者ハイゼンベルク不確定性原理を発表した。不確定性原理とは粒子の位置と運動量、時間とエネルギーといった物理量の関係は、同時に正確に測定できないというもの

1932年、ハイゼンベルク量子力学の創始等の功績でノーベル賞を受賞した。

二重スリット実験

粒子と波動の二重性を示す実験として、二重スリット実験がある。二重スリット実験とは、2本のスリットがある板に向けて電子を1個ずつ発射し、その後ろにあるスクリーンに衝突した電子の跡を観測するもの(本記事トップ画像参照)。

もし電子が粒子の性質しか持たないなら、スクリーンにはスリットと同じ2本の線の跡が現れる。しかし、実験では電子の跡の集合は濃淡模様となり、波で二重スリット実験を行った時に現れる干渉縞のパターンと一致した。つまり電子は波の性質を示した

次に、電子がどちらのスリットを通過するか観測するため検出器を置いて実験を行った。するとスクリーンには干渉縞でなく2本の線が現れた。つまり電子は観測していない時は波として、観測した時は粒子として振舞った

コペンハーゲン解釈 

デンマークの物理学者ボーアらが、今日の量子論における標準的な解釈を提示した(コペンハーゲン解釈)。コペンハーゲン解釈とは、量子は複数の状態が同時に存在し観測によって一つに決まるため、観測前の状態は確率的にしか予想できないというもの

現象が確率に支配されるという考えは従来の物理学にはない。たとえば二重スリット実験では、電子が左のスリットを通過した状態と右のスリットを通過した状態が同時に存在し、スクリーンに衝突すると一つに収縮すると考える。

コペンハーゲン解釈が不完全と考えたシュレーディンガーは、量子の作用で50%の確率で毒ガスが発生する箱に猫を入れる思考実験(シュレーディンガーの猫)を提示し、箱を開けるまで生きた猫と死んだ猫が存在する奇妙さを指摘した。

別の解釈に、量子が収縮せずに世界は可能性の分だけ枝分かれするという考え(多世界解釈)、量子は粒子だが未発見の変数が奇妙な振る舞いを生じさせているとする考え(隠れた変数理論)、量子は粒子だが波に乗っているとする考え(ボーム解釈)等がある。