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走性とは?わかりやすく5分で解説

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走性とは、生物が外部からの刺激に対して一定の方向に移動する性質のこと

概要

走性は外部刺激の種類によって分類される。たとえば、ガ等の昆虫は光の刺激により明るい所に集まる。この性質を光走性(走光性)と呼ぶ。この時、刺激に近づく場合を正の走性、離れる場合を負の走性という。 

また移動の方法には、指向走性(トポタキシス)と無定位運動性(キネシス)の大きく2つある。

指向走性

指向走性とは刺激に対し方向性を持つ運動のこと。これは刺激を移動の目標として捉える。具体的には屈曲走性(クリノタキシス)、転向走性(トロポタキシス)、目標走性(テロタキシス)、保留走性(メノタキシス)等がある。

屈曲走性

屈曲走性とは、体を左右に振り感覚器への刺激の強度が均等になる方向に進む方法のこと。ハエの幼虫は体を左右に振って光を捉え、光を避ける方向に進む。

転向走性

転向走性とは、体の左右にある感覚器への刺激の強度が均等になる方向に進む方法のこと。感覚器が左右対称に1つずつ必要となる。雄のカイコガは2本の触覚で雌の性フェロモンをたどる。2つの刺激がある場合はそれらを合成した方向に向かう。

目標走性

目標走性とは、感覚器への刺激を直接捉え刺激の方向に進む方法のこと。眼の発達した生物は目標に向かって真っすぐ進む。2つの刺激がある場合はどちらか1つの刺激に向かう。

保留走性

保留走性とは、感覚器への刺激の強度を一定に保つように進む方法のこと。魚は景色が変わらないよう水流に逆らって泳ぎ、昆虫は光の角度を一定に保ち螺旋を描きながら光に向かう(コンパス理論)。

無定位運動性

無定位運動性とは刺激に対し方向性を持たない運動のこと。これは刺激を行動のきっかけとして捉える。具体的には変向無定位運動性(クリノキネシス)、変速無定位運動性(オルトキネシス)等がある。なお無定位運動性は狭義の走性には含まれない。

変向無定位運動性

変向無定位運動性とは、刺激の強度によって方向転換の頻度を変化させる運動のこと。たとえば生物が光の強い所で少なく、弱い所で多く方向転換すると結果的に光の強い所に集まる

変速無定位運動性

変速無定位運動性とは、刺激の強度によって移動速度を変化させる運動のこと。たとえば生物が光の強い所で遅く、弱い所で速く移動すると結果的に光の強い所に集まる

主な走性

主な走性を以下に示す。

光走性(走光性)

光走性とは光の明るさに反応する走性のこと。ガ等の昆虫やイカ、魚等は外灯や漁火の光に集まる。一方プラナリアは光を避ける方向に進む。このことからガやイカは正の光走性、プラナリアは負の光走性を持つといえる。

流れ走性(走流性)

流れ走性とは水や風の流れに反応する走性のこと。トンボは風に逆らって飛び、産卵期のサケは川を遡上する。一方成長期のサケは川の流れに乗って海に下る。このことから、トンボや産卵期のサケは正の流れ走性、成長期のサケは負の流れ走性を持つといえる。

重力走性(走地性)

重力走性とは重力に反応する走性のこと。ミミズは地中に潜る。一方ゾウリムシは水面に向かう。このことからミミズは正の重力走性、ゾウリムシは負の重力走性を持つといえる。

化学走性(走化性)

化学走性とは化学物質に反応する走性のこと。蚊は二酸化炭素に向かって飛び、アリはフェロモンをたどる。一方ゾウリムシは濃度の高い酢酸から離れる。このことから蚊やアリは正の化学走性を持ち、ゾウリムシは負の化学走性を持つといえる。

接触走性(走触性)

接触走性とは接触に反応する走性のこと。イトミミズは互いに体を接触させる。一方ミドリムシは何かに触れると退行する。このことからイトミミズは正の接触走性を持ち、ミドリムシは負の接触走性を持つといえる。

電気走性(走電性)

電気走性とは電気に反応する走性のこと。水中に2本の電極を入れ電圧をかけるとゾウリムシは陰極に向かう。このことからゾウリムシは電気走性を持つといえる。

振動走性(走波性)

振動走性とは振動に反応する走性のこと。ミズスマシは波の発生源に向かって移動する。このことからミズスマシは正の振動走性を持つといえる。

磁気走性(走磁性)

磁気走性とは磁場に反応する走性のこと磁性細菌は磁力線に沿って移動する。このことから磁性細菌は磁気走性を持つといえる。

湿度走性(走温性)

湿度走性とは湿度に反応する走性のことダンゴムシは湿度の高い環境で速度が遅くなる。このことからダンゴムシは正の湿度走性を持つといえる。

温度走性(走湿性)

温度走性とは温度に反応する走性のこと。線虫は過去にエサを得られた場の温度に向かい、過去に飢餓となった場の温度を避ける。このことから線虫は温度走性を持つといえる。

音波走性(音響走性,走音性)

音波走性とは音波に反応する走性のこと。雌のコオロギは雄の発する音に近づく。このことから雌のコオロギは正の音波走性を持つといえる。