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超弦理論とは?わかりやすく5分で解説

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超弦理論とは、物質を構成する最小単位(素粒子)を1次元の弦(ひも)と考える弦理論に、超対称性の性質を追加した理論のこと

簡単に言うと、世界はひもでできているという考え。超ひも理論ともいう。

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基本相互作用について

自然界に働く力は電磁気力、弱い力、強い力、重力の4つと考えられている。これを基本相互作用という。

電磁気力

原子核と電子や、原子同士を結び付け原子や分子を作る力のこと。電気と磁気の力。

弱い力

重い素粒子から軽い素粒子に崩壊する時の力のこと。

強い力

原子核等を構成する素粒子(クォーク)同士を結び付け、陽子や中性子等を作る力のこと。

重力

物質同士が引かれ合う力のこと。他の3つの力に比べ極端に弱い。たとえば、静電気で髪の毛を逆立てられるのは、重力よりも電磁気力が圧倒的に強いため。

歴史

多次元の解釈

1921年、ドイツの物理学者カルツァが、重力と電磁気力を統合するために5次元時空を仮定し1926年、スウェーデンの物理学者クラインが発展させた(カルツァ=クライン理論)。しかし、実際人類は4次元(縦+横+高さ+時間)以上の次元を認識していない。

そこでカルツァ=クライン理論では、余分な次元(余剰次元)は認識できないほど小さなスケールにコンパクト化されていると考える

弦理論の誕生

1970年、アメリカの物理学者サスキンド、デンマークの物理学者ニールセン、日本の物理学者南部陽一郎が、強い力で結合した素粒子の組(ハドロン)は点ではなく弦だと考えた(弦理論)

たとえば、バイオリンは1本の弦で様々な音を鳴らすことができる。同様に弦理論では弦の振動の違いが粒子の性質の違いを生むと考える。1971年、フランスの物理学者ラモンらが弦理論を拡張し、17種類ある素粒子を1つの弦の振動の違いで説明した

しかし、弦理論の成立には26次元必要で、光よりも速い素粒子(タキオン)の存在等が実験結果と矛盾していたため研究の主流にはならなかった。この矛盾をアノマリーという。

量子重力理論の研究

基本相互作用のうち電磁気力、弱い力、強い力は素粒子のようなミクロの世界を記述する量子論で、重力は天文現象のようなマクロの世界を記述する一般相対性理論で説明できる。基本的に両理論は、適用するスケールが異なるため並立していても支障はない。

しかし、宇宙誕生の瞬間やブラックホールのような大質量かつミクロの世界を記述するためには、両理論を統合させる必要がある(量子重力理論)。但し、重力を量子論に適用すると計算が無限大に発散する問題が生じる(紫外発散)

これは素粒子を大きさの持たない点とすると、素粒子間の距離が0の時に重力が無限大になるため。そこで1974年、アメリカの物理学者シュワルツとフランスの物理学者シャークが、素粒子を大きさを持つ弦と考える弦理論を量子重力理論に適用した

第1次ストリング革命

1984年、シュワルツとイギリスの物理学者グリーンが、弦理論に超対称性を導入し26次元を10次元に減らし、アノマリーを解消した(超弦理論)。超対称性とは、すべての素粒子にペアとなる素粒子(超対称性粒子)を設ける考えのこと。

超対称性は、17種類の素粒子からなる現代素粒子物理学の基本的な理論(標準理論)の欠点を補う新しい考えとして期待されている。これにより研究が進み超弦理論にはI型、IIA型、IIB型、ヘテロSO(32)、ヘテロE8×E8の5つのバージョンが誕生した。

第2次ストリング革命

1995年、アメリカの物理学者ウィッテンが、5つの超弦理論を11次元の一つの理論に統一させた(M理論)M理論では1次元の弦ではなく2次元の膜を扱う。また同年、アメリカの物理学者ポルチンスキーらが、弦が集まり膜として働く概念を導入した(Dブレーン)

当時、素粒子も身動きできないブラックホールから、なぜか熱が生じる現象が問題になっていた(ホーキング放射)。イランの物理学者バファが、Dブレーンを用いブラックホール内にたたまれた膜と弦が発する熱とホーキング放射の熱が一致することを証明した。 

問題点

超弦理論には実験で確認できない問題が多いため推測の域を出ず、反対派も存在する。たとえば、余剰次元の確認方法や超対称性粒子の発見の見通しは立っていない。現に超弦理論の業績でノーベル賞を受賞した人物は出ていない。

しかし現在のところ理論に大きな破綻はなく研究が進められている分野で、超対称性粒子の一部は宇宙に存在するとされる未発見の粒子(暗黒物質,ダークマター)の候補として期待され、重力が極端に弱い理由も説明できる可能性を秘めている。