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自由意志とは?わかりやすく5分で解説

自由意志とは、他からの影響を受けないで自由に行為できる意志のこと

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背景

古くから人間は自由意志を持つと考えられてきた。しかし科学の発展は自由意志の存在を否定する方向に働いた。18~19世紀、様々な現象がニュートン力学で説明されると、すべての状態を把握すれば未来は確定するという考えが生まれた(ラプラスの悪魔)。

20世紀初頭、行動が遺伝と環境で決まると考える行動主義心理学が確立した。いずれの考えでも、自由意志は錯覚と考えられた。

リベットの実験

1985年、アメリカの生理学者リベットが自由意志に関する実験を報告した。身体を動かす時、それに先立ち脳波に変化(準備電位)が生じる。彼は被験者に好きなタイミングで腕を動かすよう指示しその時間を後に報告させ、同時に脳波と腕の筋電位を計測した。

その結果、最初に準備電位が生じ、その350ミリ秒後に腕を動かそうと意図し、その200ミリ秒後に腕が動くことを発見した。つまり、意識的な意思決定前に脳が活動を開始していた。これを受け自由意志は錯覚という議論が起こった。

リベットは被験者が腕を動かそうとしてやめた時、生じていた準備電位が喪失することを確認した。このことから彼は、準備電位が生じた後の拒否権こそが自由意志だと主張した

立場による違い

自由意志のとらえ方について、立場による違いを以下に示す。

強い決定論

強い決定論とは、すべての出来事は決まっていて自由意志は存在しないという立場のこと。すべては原因と結果の因果法則によって決められているという考え(因果的決定論)や、すべては神によって決められているという考え(神学的決定論,予定説)等がある。

またミクロの世界を扱う量子論では、粒子の運動が確率的にしか決まらないとする(確率解釈)。つまり未来は決定されない。しかし、ランダムだったとしても一定の法則があることには変わらず、自由意志が存在する余地はないと考える(確率論的決定論)。

自由意志論(リバタリアニズム)

自由意志論とは、自由意志は存在しすべての出来事は決まっていないという立場のこと。自由意志論者は、主に自由の本質を自由に選択できること(選択可能性)と考える。たとえば喉が渇き冷蔵庫から複数の飲み物を選択できる時、選択可能性があるという。

両立論(弱い決定論)

両立論とは、決定論と自由意志が両立するという立場のこと。両立論者は自由の本質を望んだ行為が行えること(行為者性)と考える。たとえば喉が渇き自販機で好きなコーラを買える時、行為者性があるという。

もし決定論が正しいとすると、コーラを買うことは決まっていたためファンタを買うといった選択可能性はない。しかし行為者性はあるため、自由意志は決定論と両立する。

道徳的責任

一般に、自由意志に基づく行為には責任が伴うと考えられている。責任は犯罪の成否に関わる。たとえば殺人を行ったとしても、心身喪失者の場合には責任を問えず犯罪が成立しない(責任阻却事由)。強い決定論は、人間の行為に責任を持たせることが難しい

なぜなら強い決定論では、運命が決まっていて自由意志による選択可能性も行為可能性もないため。これは、洗脳や脅迫により本人に自由がない(責任を問えない)状態に近い。一方、自由意志論や両立論は行為者に責任を持たせることができる。

心身問題

両立論のように、心的な意志と物理的な行為を結びつけて扱うのは難しい(心身問題)。なぜなら、科学が扱う物理的な世界に非物理的な心(意志)が存在することになるため。そこで、心の状態は物理的な脳の状態で表せるという考えが生まれた(心脳同一説)。

心脳同一説により心が脳に置き換えられるなら、なぜ心が存在するのかを説明する必要がある。人間は無意識に熱いものから手を離したり(脊髄反射)、呼吸することができるし、機械は心がなくても正確に仕事が行なえる。つまり、心は不必要に思われる。

もし、人間が進化の過程でたまたま心を獲得したとすると、現代の進化論の根幹をなす自然選択説に反する。自然選択説では必要な機能が遺伝し、不必要な機能が淘汰されると考えるため。心身問題は、現代でも哲学上の重要な問題として扱われている。

脳神経研究

2008年、イギリスの脳神経学者ヘインズが、被験者に左右どちらかのボタンを押させ、その時脳のどこが活発に活動しているかを測定した。その結果、意識的な意思決定前に前頭皮質(BA10)が活動し、そのパターンから7秒前に左右どちらを選ぶか予測できた

2009年、フランスの認知神経科学者シリグが、被験者の脳(頭頂葉)に電気刺激を与えたところ、被験者に身体の特定の部位を動かしたいという意志が生まれた。現在のところ脳内の複雑な関係性が意志を生むとし、どこかに中枢があるとは考えられていない。