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違法性阻却事由とは?わかりやすく5分で解説

違法性阻却事由とは、処罰の必要性が否定される正当防衛等の事情のこと

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犯罪の成立要件

日本の刑法では、犯罪の成否を3段階に分けて検討する。すなわち、構成要件に該当し、違法性阻却事由に該当せず、責任阻却事由に該当しない場合のみ犯罪が成立する。

構成要件

構成要件とは、条文の解釈から導かれる犯罪の型のこと。たとえば殺人罪の条文は「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」だが、この場合の構成要件は「人を殺す行為」となる。つまり、人を殺すと殺人罪の構成要件に該当する。

違法性阻却事由

違法性阻却事由とは、違法性がないとして処罰対象とならない事情のこと。正当防衛や緊急避難等が違法性阻却事由に該当する。

責任阻却事由

責任阻却事由とは、責任能力がないとして処罰対象とならない事情のこと心神喪失や14歳未満の子供(刑事未成年者)等が責任阻却事由に該当する。

違法性阻却事由の種類

違法性阻却事由には、正当行為、正当防衛、緊急避難、自救行為、被害者の同意がある。

正当行為(刑法35条)

正当行為とは、法令上もしくは業務を行う上で必要な行為のこと。たとえば、消防の消火活動における住居侵入・破壊、死刑執行における殺人、司法解剖における死体損壊、外科手術における傷害、格闘技における暴行等の行為がこれにあたる。

教会で犯罪者を匿い、その後任意出頭させた行為が正当行為として認められた判例もある(牧会活動事件)。

正当防衛(刑法36条)

正当防衛とは、警察等に助けを求める余裕がなく緊急を要する状態においての違法な侵害(急迫不正の侵害)に対し、自己や他人の権利を守るためやむを得ずにとる行為のこと。たとえば、突然殴りかかってきた相手を突き飛ばす行為がこれにあたる。

但し、必要以上の反撃(過剰防衛)や勘違いによる防衛(誤想防衛)、またそれらが合わさった誤想過剰防衛が認められると違法性が阻却されない。イギリス人が勘違いで女性を助けようとして男性を殺した事件では、傷害致死罪が成立した(勘違い騎士道事件)。

緊急避難(刑法37条)

緊急避難とは、緊急の状態において自己や他人の権利や利益を守るためにやむを得ずにとる行為のこと。たとえば、海で遭難し二人で板につかまっている時、このままだと沈んでしまうために相手を板から引き剥がす行為がこれにあたる(カルネアデスの板)。

正当防衛との違いは、正当防衛は正と不の関係に対し、緊急避難は正と正の関係となるところにある。このように、緊急避難は不正を働いていない相手の権利を侵害する行為のため、正当防衛よりも制約が厳しい。

特に、他に手段がなかった(補充性をもつ)か、守ろうとした権利が犠牲にした権利よりも価値の高いものだったかについて検討される。遭難した船員が衰弱死した船員を食べた事件では、死体損壊罪が成立した(ひかりごけ事件)。

自救行為

自救行為とは、自己の権利が侵害された際に裁判等法的な手続きをせず、自らの力で権利を回復しようとする行為のこと。たとえば、泥棒に盗まれた物を後日被害者自らが奪い返す行為がこれにあたる。但し、自救行為が認められることは極めて少ない。

なぜなら、自救行為のような実力行使を認めると社会秩序が維持できなくなるため。そのため、盗まれた自転車を見つけてそのまま乗って帰ると窃盗罪となる。また正当防衛との違いは急迫性の有無となる。ひったくり犯からその場で奪い返す行為は正当防衛。

被害者の同意

被害者の同意とは、行為の前に被害者となる人物に承諾を得る行為のこと。たとえば、ピアスの穴あけを友人に頼まれて手伝う行為がこれにあたる。但し、被害者の承諾を得ても殺人における同意殺人罪(刑法202条)のように、別罪が存在するものもある。

また強制性交等罪(刑法177条)では、13歳未満の子供に対する性交が被害者の同意の有無にかかわらず認められていない。

海外の法律

善きサマリア人の法

善きサマリア人の法とは、災害や急病の人を救うためにとった善意の行為は、たとえ失敗したとしても責任を問われないという法のことアメリカやカナダで施行されている。

たとえば日本では、航空機内で急病人が出て航空会社からお医者様はいらっしゃいませんか(ドクターコール)とアナウンスがあった時、それに応じた医者が業務上過失致死傷罪に問われる可能性がある。但しその場合は緊急避難に該当する可能性が高い。 

海外の判例

1992年、アメリカでハロウィンのため仮装した日本人留学生が、訪問先を間違え家主に射殺された。被告は裁判で正当防衛を主張し無罪となった。