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プレグナンツの原理とは?わかりやすく5分で解説

プレグナンツの原理とは、チェコの心理学者ヴェルトハイマーが発表した知覚に関する法則のこと

人間が何かを知覚するときは、対象を個別に認識しているのではなく単純で秩序のあるグループに分けて認識する。たとえば破線は、短い線が一杯並んでいるのではなく、一本の線としてつながって知覚される。

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背景

19世紀、ドイツの心理学者ヴントは心理学に科学的な手法を取り入れた実験心理学を確立した。これにより、哲学の一分野であった心理学が一つの学問として独立する。彼は実験によって、心を構成する要素の抽出を試みた。

この考えはイギリスの心理学者ティチナーに引き継がれ、心を最小単位の要素に分解し、要素を調べれば心が解明できると考える構成心理学が生まれた。彼らのように、全体(この場合は心)は要素の総和からなるとする立場を還元主義または要素主義という

ゲシュタルト質とは

1890年、オーストリアの心理学者エーレンフェルスはゲシュタルト質についてという論文を発表した。論文では、音楽において曲のキーを変えても同じ曲だと知覚できる現象を取り上げた。この現象を移調可能性という。

彼は、音の要素が異なっても同様のメロディーを知覚できるということは、メロディーを一つ一つの音の集まりだけではなく、全体のまとまりとして知覚しているためと考え、この全体のまとまりをゲシュタルト質と呼んだ。ゲシュタルトは形態という意味。

彼の属するグラーツ学派では、心は要素の総和にゲシュタルト質が加わったものと考えたが、要素が集まってゲシュタルト質が発現するという要素主義的な考えは残していた。

ゲシュタルト心理学の成立

1912年、チェコの心理学者ヴェルトハイマーは仮現運動の研究をまとめた論文、運動視に関する実験的研究を発表した。仮現運動とは、2つの図を最適な時間間隔で交互に表示させたとき、あたかも図形が運動しているかのように知覚される現象のこと。

この現象は映画やアニメの原理として知られ、踏切の赤色灯や自動販売機のイルミネーションでも確認できる。このように知覚は対象を要素ではなく全体として捉える性質を持つ。そこで要素主義を否定し全体を重視するゲシュタルト心理学が誕生した。

彼の属するベルリン学派では、心はゲシュタルトからなり分解することはできないと考えた。彼らのように、全体(この場合は心)は要素の総和とは異なり分解できないとする立場を全体論またはホーリズムという

刺激と感覚の関係

要素主義者は、刺激からは必ず1対1で対応する感覚が生じると考える。これを恒常仮定という。一方ゲシュタルト心理学者は知覚の恒常性を例に、刺激から感覚が生じるというよりも脳の活動が感覚を生じさせると考え、恒常仮定を否定する。

今、赤いリンゴを持ったまま明るい部屋から暗い部屋に移動する。客観的には暗い部屋のリンゴの方が赤黒いと感じるはずだが、実際は暗闇でも同じリンゴの色を認識できる。このように、刺激が変化しても同様の感覚が得られる現象を知覚の恒常性という。

プレグナンツの原理

プレグナンツの原理は、同じ要素の刺激から異なる感覚が生じることを示している。その中で代表的な近接・類同・閉合・連続・過去経験の要因について紹介する。身近な例ではリモコンのボタン配置等に活用されている。

近接の要因

近接しているもの同士はまとまって認識される。以下の場合、丸は2個ずつグループに見える。

○○  ○○  ○○  ○○

類同の要因

性質の同じもの同士はまとまって認識される。以下の場合、丸は色ごとグループに見える。

○○●●○○●●

閉合の要因

線は互いに閉じるように認識される。以下の場合、かっこはひし形のグループに見える。

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連続の要因

曲線は連続しているように認識される。以下の場合、ファイは円と縦線の組み合わせに見え、半円が2つあるようには見えない。

Φ

過去経験の要因

過去に経験したものは同様に認識される。以下の場合、中華人民共和国は中華と人民と共和国に分かれる。初めて漢字を見る人、つまり経験のない人にこれは起きない。

中華人民共和国