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クオリアとは?わかりやすく5分で解説

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クオリアとは、主観的な体験から得られる質感のこと。感覚質ともいう。

具体的にはバラの赤さ、シルクの滑らかさ、砂糖の甘さ、音楽の心地よさ、二日酔いの気持ち悪さ、サウナの暑さ、煙の焦げ臭さといった言葉に表せない質感がこれにあたる。

痛覚一つとっても、ズキズキ、ピリピリ、ガンガン、ジンジン、チクチク、キリキリ等様々なクオリアがある。

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クオリアの性質

クオリアの性質を以下に示す。

言表不可能性

言表不可能性とは、言葉で表すことができない性質のこと。生まれつき色が見えない人に、青色を認識する物理的なメカニズムは伝えることができても、青さ(青のクオリア)を伝えることはできない。

私秘性

私秘性とは、外部から観測できない性質のこと。主観的な体験に現れるクオリアは、客観的に観測できない。

意識のハードプロブレム

現代科学では、全身麻酔のメカニズムは解明されていない。しかしこのような物理的な現象(薬と生体の相互作用)は、それがいかに複雑だとしても科学的に調べる方法がある。これに対しクオリアは、その性質から科学的に調べる方法がない

オーストラリアの哲学者チャーマーズは、前者を意識のイージープロブレム、後者を意識のハードプロブレムと区別し、意識の解明を楽観視していた科学者に対し一石を投じた。

立場ごとの解釈

クオリアのとらえ方について、それぞれの立場での解釈を以下に示す。

物理主義

物理主義とは、この世界がすべて物理的なもので構成されているという立場のことクオリアは科学の発展と共にいずれ物理的に解明され説明できるとする考え(還元主義)や、そもそも存在しないとする考え(消去主義)等がある。

たとえば、かつて生気という非物理的な生命力のようなものの存在が信じられていたが、科学の発展と共に廃れた。物理主義者はクオリアも同じ道を辿ると考えている。他に修正された概念にフロギストン、カロリック、エーテル等がある。

二元論

二元論とは、この世界が物理的なものと心的なもので構成されているという立場のことクオリア現代科学の範囲を広げれば解明できるとする考え(自然主義的二元論)や、人類には解明できないとする考え(新神秘主義)等がある。

思考実験

クオリアについての思考実験を以下に示す。

メアリーの部屋

メアリーの部屋とは、1986年にオーストラリアの哲学者ジャクソンが提起した、物理現象をすべて理解する人間にクオリアが生じる可能性を考える思考実験のこと。科学者メアリーは、白黒の部屋で白黒の本や白黒のテレビを見て育った。

彼女は色覚の専門家で、科学的に色を認識する仕組みをすべて理解している。いまメアリーが部屋を出て初めて色を見るとき、彼女は何か新しいことを学ぶだろうか。彼女が新しいことを学ぶと考えた場合、それは物理的なものではないことになる。

つまり、クオリアが存在するということになり物理主義の否定につながる。これを知識論法という。物理主義者は、新しいことは何も学ばないという批判や、既知の事実を別の側面から捉えただけで新しい事実は学ばない(旧事実/新様式戦略)と批判する。

逆転クオリア

逆転クオリアとは、同じ外部刺激から異なるクオリアが生じる可能性を考える思考実験のこと。友人が生まれつき緑のクオリアを赤と呼んでいたとする。いま夕焼けを眺めお互いに「赤くて綺麗」と話したとき、私は赤、友人は緑のクオリアを感じている。

一般に物理主義では、同じ外部刺激からは同じクオリアが生じると考えるため、このような可能性があってはならない。つまり物理主義の否定につながる。これを想像可能性論法という。

物理主義者は、可能性を想像できるからと言ってそれが存在可能ということではないと批判する。

哲学的ゾンビ

哲学的ゾンビとは、1990年代チャーマーズが提起した、見た目は変わらないが意識体験(感情、クオリア等)のみが存在しない人間のこと哲学的ゾンビは友人と談笑したり映画を見て泣いたりするが、そこに楽しさや悲しさはない。

つまり、そこにクオリアはなくただ物理的な反応のみで行動する。この世界には意識体験がある。一方哲学的ゾンビのみの物理法則に支配された世界(ゾンビワールド)も論理的に想像できる。するとこの世界にはゾンビワールドにない意識体験があると分かる。

つまり、この世界は物理的なものだけではないということになる。これは想像可能性論法の一つでゾンビ論法ともいう。物理主義者は、科学が進めばゾンビワールドは論理的に存在できなくなるという批判や、意識体験は錯覚でみんな哲学的ゾンビと批判する。