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用不用説とは?わかりやすく5分で解説

用不用説とは、フランスの博物学者ラマルクが提唱した生物の意志を進化の原動力と考える進化論のこと。用不用、獲得形質の遺伝の2つの法則からなる。

発達の限界を超えていない動物において、頻繁に使用する器官は使用期間に比例して発達し、使用しない器官は次第に衰え(用不用)、その形質は生殖によって新しく生まれた個体に受け継がれる(獲得形質の遺伝)というもの。

現代では遺伝学の発達と共に否定された説だが、いまだに支持者もいる。

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背景

17世紀、化石や地層の研究から過去の地球に現在存在しない生物がいたことが明らかになった。この発見は物議を醸すことになる。なぜなら神が宇宙を創造したとする創造論では、神の意志以外で生物が滅ぶことは無いと考えられていたため。

キュヴィエの考え

フランスの博物学者キュヴィエは、過去に天変地異が起きそのたびに生物種が滅び化石になったと主張した(天変地異説)。天変地異説は創造論とも矛盾しない。なぜなら聖書にはノアの大洪水の記述があるため。

またこの頃、シベリアで氷漬けのマンモスが綺麗な状態で発見される。これは極めて急激な変化に対応できなかったマンモスとされ、天変地異説を後押しすることになる。彼は自身の研究から生物種は不変と考えた。

ラマルクの考え

フランスの博物学者ラマルクは、過去に存在した生物種は現存の生物種に進化したと主張した。彼の発想は、生物は無生物から発生し(自然発生説)、単純なものから複雑なものへ徐々に変化(前進的発達)していくというもの。

また創造論に対しては理神論的な立場をとった。理神論とは、神の活動は宇宙を創造するのみで、創造後の宇宙は神が定めた自然法則に従って働き続け、神は介入しないという考えのこと。

用不用説の発表

1809年、ラマルクが動物哲学という本の中で提唱した考えが用不用説と呼ばれる。用不用説は、用不用と獲得形質の遺伝という2つの法則からなる。 

用不用

用不用とは、発達の限界を超えていない動物において、頻繁に使用する器官は使用期間に比例して発達し、使用しない器官は次第に衰えるという法則のこと。

獲得形質の遺伝

獲得形質の遺伝とは、個体が獲得もしくは失った形質は、生殖によって新しく生まれた個体に受け継がれるという法則のこと。

キリンの例

キリンの先祖は高所の木の葉を食すため首を伸ばす努力をし、一世代で少し首が伸びる(用不用)。これが子孫に遺伝し(獲得形質の遺伝)繰り返され、現代のキリンになったと考える。

反響と検証

1868年、ダーウィンは飼養動植物の変異という著書を出版し獲得形質の遺伝を支持した。彼は動植物の細胞にはジェミュールという粒子が存在し、獲得した形質の情報が生殖細胞に集まり子孫に伝わると考えた。これをパンゲン説という。

ドイツの動物学者ヴァイスマンは、尾を切断されたマウスの子供が短い尾になるか、何世代にも渡って調べた。結果マウスの尾に変化は見られず、用不用説は否定された。しかしラマルク支持者は、尾の必要性やマウスの意思が無視されているとして反論した。

用不用説自然選択説

用不用説は目的論的で、生物が主体性を持ちより複雑なものに方向性を持って進化(発達)すると考える。一方イギリスの博物学ダーウィンとウォレスが提唱した自然選択説は機械論的で、主体性も方向性もなく進化(変化)すると考える。

進化に関する一部の現象は、自然選択説よりも用不用説の解釈の方が受け入れやすい。

鳥の祖先は、骨を中空にしてまで体重を減らし、筋肉をつけ、翼を持ち初めて空を飛べるようになった。脊椎動物の眼(カメラ眼)は、ピント調整の水晶体、光量調整の瞳孔、像を映す網膜等、複雑な構成となっている。身体を何かに似せる擬態も同じく複雑。

こうした複数の要素により機能する能力は自然選択説で説明しづらい。なぜなら自然選択説では、個々の能力が生存に有利であったことを説明する必要があるため。空を飛べるのが有利なのは分かるが、骨が中空なのが本当に有利なのかということ。

ネオラマルキズム

用不用説では、空を飛びたいや物を見たいという動物の意思に従って一つ一つの能力を獲得していったと考える。これはとても分かりやすい。そのため用不用説は一度廃れたがその後再評価され、現代ではネオラマルキズムと呼ばれている。

その他

1944年のオランダ飢饉で、当時妊娠中の母親から生まれてきた子供やその子孫が、成人後肥満になる確率が高いという研究結果がある。これは、母親が食糧の少ない環境で過ごしたことで栄養の吸収効率が上がり、その形質が子供に遺伝したとも考えられる。

その他獲得形質の遺伝や、進化における生物の主体性を疑わせる現象が多く確認されているため、用不用説は今なお研究されている。