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エーテルとは?わかりやすく5分で解説

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エーテルとは、かつて光の媒質として考えられていた物質のこと

ドイツの物理学者アインシュタイン特殊相対性理論により存在が不要となり、現代物理学では取り扱われなくなった概念。媒質とは波を伝える物質のこと。たとえば海の波の媒質は海水となる。

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由来

古代ギリシャでは天空を神の領域と考えアイテールと呼称した。ギリシャ神話には、この領域を神格化した天空神アイテールが登場する。

哲学者アリストテレスは、この世界が火、空気、水、土の四元素で構成される地上と、アイテール(第五元素)で構成される天空から成ると考えた。また宇宙はアイテールで満たされており、アイテールによって天体が地球の周りを円運動すると主張した。

エーテル仮説

17世紀オランダの物理学者ホイヘンスは、光が波の性質を持つ事を主張した(光の波動説)。そこで光が波ならば媒質が存在すると考え、光の媒質をエーテルと名付けた。以降、宇宙空間はエーテルで満たされているという考えが支持される(エーテル仮説)

エーテルの風

エーテルと光は、空気と音の関係に似ている。音に向かっていけば、音が速く耳に届き、音から逃げていけば音が遅く耳に届く。これは音の速度に自分の速度(=風の速度)が足し引きされるため。エーテル仮説が正しいとすれば、光にも同じことが起こる。

地球は宇宙空間(エーテルで満たされた空間)を移動しているため、エーテルの風を受ける。つまり地球上で観測される光の速度には、地球の速度(=エーテルの風の速度)が足し引きされると考えられた

マイケルソン・モーリーの実験

19世紀、アメリカの物理学者マイケルソンとモーリーが、エーテルを検出するため方位の違いによる光の速度差の観測を試みた。しかし実験では光の速度に実験誤差以上の差異が見られず、エーテルの観測は失敗に終わった

物理学者は、実験結果とエーテルの存在の整合性を図るため様々な仮説を立てた。

エーテル随伴仮説

エーテル随伴仮説とは、エーテルが地球に随伴して一緒に動いているためエーテルの風を感じることができないという仮説のこと。しかし、この仮説では光行差現象を説明できなかった。

光行差現象

光行差現象とは、地球上から見た天体が実際の位置からずれて観測される現象のこと。これは天体から発した光が地球に届くまでに、地球が宇宙空間を移動するために起こる現象だが、エーテル随伴仮説を採用するとずれは生じなくなってしまう。

たとえば光を雨、エーテルを大気、地球を観測者とする。いま雨が降っているとき、観測者が停止(大気が観測者に随伴)していれば雨は真上から降ってくるが、観測者が移動(大気が観測者に随伴しない)していれば、雨は斜め前から降ってくるように見える。

この雨が斜め前から降ってくるように見える現象が光行差現象となる。

ローレンツ収縮仮説

ローレンツ収縮仮説とは、エーテルに対して移動する物体は進行方向に長さが縮むという仮説のこと。この仮説は物体が縮むことでエーテルの風の影響が相殺されてしまうため、光の速度差が観測できなくなり前述の実験と辻褄が合う。

オランダの物理学者ローレンツらが唱えた。

エーテルの終焉

20世紀、ドイツの物理学者アインシュタインが、エーテルの存在を仮定せずに光の性質を説明できる特殊相対性理論を発表した。これによりエーテルはほとんど議論されなくなった。ちなみにローレンツ収縮の発想は、特殊相対性理論でも取り入れられた。

その他

コンピュータネットワーク規格のイーサネットは、どこにでも偏在するエーテル(イーサ)にちなんで名付けられた。